普通
私は総じて見れば、どこにでもいる平凡な女子大生だ。
しかし、普通ではないところがいくつもある。
顎変形症だったり、反張膝だったり、アトピー性皮膚炎だったり、毛深かったり。
いろんな普通じゃない点があって、それが全部コンプレックスだ。
それでも、きっと私は誰の目から見ても“普通の人間”だ。
普通じゃないところをいくつも持っているのが普通の人間なのかもしれない。この世界における普通とは、案外異常なのかもしれない。
あんなに可愛いアイドルが鬱病を患うのも、秀でた何かを持った人が自殺するのも、傍から見て幸せに見えても本人からすれば普通じゃないことが沢山あったんだろう。
私が地獄を生きているように、みんなも地獄を生きているのだ。
尺度は違えど、きっとみんな見えてる地獄を普通だと定義付けて生きている。
そう思えば、少しだけ胸を張って生きられる。
少しだけ、息がしやすくなる。
私はどんな私だって愛してあげよう。
きっとみんな自分の地獄で手一杯なんだから、私は私の気持ちに1番に寄り添って、1番の味方でいてあげよう。
可愛くなりたいと思う気持ちも、彼への気持ちも、努力も挫折も嫉妬も怒りも悲しみも全部肯定してあげよう。
そうやってみんな、普通に生きているんだから。