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あ、毛剃り忘れた とか
今日の服微妙 とか
袖毛玉ついてる とか
ビューラー忘れた、香水忘れた、リップ忘れた、マスク替え忘れた。
今日顔微妙だなあ…あ、化粧1個工程飛ばした、
靴汚いな、あ、爪禿げてる。
外で些細なミスに気付くと死にたくなる。
それが1人で出かけていても、学校でもデートでも。
常に最強の私じゃないと価値ない。1個でも万全じゃない状態で外に出たくない。
朝服選んでて、これでいいかなって決めて下に行ってお父さんに言われた一言。「センスないなぁ」。
その一言で頭真っ白になる。あ、これじゃだめなんだ、って。
友達に、彼氏に、すれ違う人に思われたらどうしよう。「センスないなぁ」って。その否定の言葉は呪いみたいに付きまとって、どの服を着てもどんな髪型でいっても今日はダメなように思える。
朝は時間が魔物みたいに迫る。
家を出る頃には一軍の服でカチューシャまでつけて完全武装した私がいた。学校行くだけなのに気合い入れすぎた、って結局後悔する。
「人は思ってるよりあなたのこと見てないよ」
嘘だそんなの。そう言うなら冗談でも人の容姿に口出さないで。テレビの人であっても笑わないで。そういうのを見て、あ、見られてるんだって思うんだよ。
街の反射物に映る自分が気持ち悪い。好きになれない。ああ、生き辛い。いっそ殺して欲しい。