女子大生の心の中

18さいの心の中

私じゃない私になりたい。

 

顔も身体も性格も気に入らない。人の真似事をして生きる自分を殺したい。

他人の模造品みたいな自分が気持ち悪い。

 

どうしたって人の1番になれない。自分を愛することは難しい。手っ取り早く、私の代わりに私を愛してくれる人と出会いたい。

 

人間結局は愛に飢えていて、他人に愛されるか自分を愛するかどちらかができないと心は貧しくなる一方で、そんな世界が憎い

 

愛してると言ってくれた彼も嘘みたいにすぐいなくなったし、ずっと一緒にいたい友達もいつかはみんな散り散りになる。それでも生きていかなくてはならない。

 

20年生きてきて気付いたことは、人はすぐそばから離れていくこと。音楽と煙草だけは寄り添っていてくれること。お金は欲を満たすが直接心を満たしてくれないこと。

 

芸術はいいものだと思う。音楽は聴覚を会して心に届いてくれる。絵は視覚を会して感情に訴えかける。どちらも、100年経っても気持ちが残る。行動は頼りない記憶になるけど、芸術は形に残るから分かりやすくて良い。

 

偶然地元の幼なじみに会った。久しぶりに会って、気まずかった。幼少期は仲が良かったような気がするんだけど。

彼女はすっぴんに近い大きな目を輝かせた。久しぶだねって。記憶の中より優しい声。この数年で彼女はきっと沢山傷ついて、素敵な人になっていた。長年付き合ってる彼氏がいて、愛に困っていなさそうで、1時間程度でわたしは彼女と自分を勝手に比べて劣等感を抱いて、別れてすぐ煙草に火をつけた。彼女の知らない味。わたしずっと、彼女に憧れていた。思い出した。

 

 

うまくできないことばかりだ。

私もっと色々できる人だった気がする。勉強も人並にできて、絵が上手くて、大人しく穏やかでみんなに優しい子だった気がする。小中は。

高校の陰キャ生活で世の中を知って、大学1年は他人の模倣に明け暮れた。私も高校のみんなになりたくて、遅れを取り戻すみたいに。

そうしていくうちに見た目がみんなと一緒になって、今までできたことが出来なくなった。何も出来ない空っぽの人間が出来上がった。よくある話。

 

 

大学1年、他人を真似て初めて彼氏が出来た。今は元だけど。そんな彼に言われた。

 

背が高くてかっこいい彼氏が出来た。もっと高校の子みたいな、普通にならないと。うまく話して、楽しそうにしないと。

 

 

「ほんまになんにもできひんねやろうな。」

 

 

電話越しから聞こえてきた言葉だった。

グル通で寝たふりしてる時聞いた言葉。真面目は馬鹿にされると思って、不真面目なふりしてた。いつの間にかただの不真面目になってたのだけど。

 

なんにもできない。確かに、そうだった。

 

勉強も絵もできないふりしてたらほんとに出来なくなった。労働も、いい子でいることも得意じゃなくなった。おまけに顔も特別可愛いわけではなかった。でもあなたにだけは、言ってほしくなかったな。

 

 

私だってすっぴんでも可愛いあの子になりたかった。メイクと服を鎧みたいに纏う練習なんてしなくても、内面を磨くだけでいいあの子になりたかったよ。

でも、勉強ができても、絵がかけても、誰も褒めてくれなかった。仲間に入れてくれなかった。横目で馬鹿にされるだけで、くすくす笑われるだけだったじゃない。

 

才能は馬鹿にされて、見た目を磨いても認められない。じゃあ、何ができたら私のこと褒めてくれるの。私のこと、どうやったらずっと好きでいてくれたの。私のことちゃんと見てよ。全部見破ってよ。

 

 

 

世の中は下らない。どこまでも。

 

 

あ、毛剃り忘れた とか

 

今日の服微妙 とか

 

袖毛玉ついてる とか

 

ビューラー忘れた、香水忘れた、リップ忘れた、マスク替え忘れた。

 

今日顔微妙だなあ…あ、化粧1個工程飛ばした、

 

靴汚いな、あ、爪禿げてる。

 

 

外で些細なミスに気付くと死にたくなる。

 

それが1人で出かけていても、学校でもデートでも。

 

常に最強の私じゃないと価値ない。1個でも万全じゃない状態で外に出たくない。

 

 

朝服選んでて、これでいいかなって決めて下に行ってお父さんに言われた一言。「センスないなぁ」。

 

その一言で頭真っ白になる。あ、これじゃだめなんだ、って。

 

友達に、彼氏に、すれ違う人に思われたらどうしよう。「センスないなぁ」って。その否定の言葉は呪いみたいに付きまとって、どの服を着てもどんな髪型でいっても今日はダメなように思える。

 

朝は時間が魔物みたいに迫る。

家を出る頃には一軍の服でカチューシャまでつけて完全武装した私がいた。学校行くだけなのに気合い入れすぎた、って結局後悔する。

 

 

「人は思ってるよりあなたのこと見てないよ」

 

嘘だそんなの。そう言うなら冗談でも人の容姿に口出さないで。テレビの人であっても笑わないで。そういうのを見て、あ、見られてるんだって思うんだよ。

 

 

街の反射物に映る自分が気持ち悪い。好きになれない。ああ、生き辛い。いっそ殺して欲しい。

 

普通

私は総じて見れば、どこにでもいる平凡な女子大生だ。

 

しかし、普通ではないところがいくつもある。

顎変形症だったり、反張膝だったり、アトピー性皮膚炎だったり、毛深かったり。

いろんな普通じゃない点があって、それが全部コンプレックスだ。

 

それでも、きっと私は誰の目から見ても“普通の人間”だ。

 

普通じゃないところをいくつも持っているのが普通の人間なのかもしれない。この世界における普通とは、案外異常なのかもしれない。

 

 

あんなに可愛いアイドルが鬱病を患うのも、秀でた何かを持った人が自殺するのも、傍から見て幸せに見えても本人からすれば普通じゃないことが沢山あったんだろう。

 

私が地獄を生きているように、みんなも地獄を生きているのだ。

尺度は違えど、きっとみんな見えてる地獄を普通だと定義付けて生きている。

 

 

そう思えば、少しだけ胸を張って生きられる。

少しだけ、息がしやすくなる。

 

私はどんな私だって愛してあげよう。

きっとみんな自分の地獄で手一杯なんだから、私は私の気持ちに1番に寄り添って、1番の味方でいてあげよう。

 

可愛くなりたいと思う気持ちも、彼への気持ちも、努力も挫折も嫉妬も怒りも悲しみも全部肯定してあげよう。

 

そうやってみんな、普通に生きているんだから。

 

 

自信

人生にいろんな悩みがある。

私だけじゃなく、みんなそれぞれいろんな地獄を背負って生きてる。

 

私の地獄は、ほとんど全て自分の自信の無さから来るものだと思った。

 

思えば素直になれないのも、可愛いを受け止められないのも、自分に自信がないから。

 

少しでも自信に繋がれば、と痩せると評判の脚やせを始めた。

 

 

20日ほど続けた結果、1mmも細くならずに余計自信を失うことになった。

 

結果なんてすぐ出ないなんて分かってるけど、着圧スパッツもフォームローラーも買ってそれなりに頑張ってる自分が馬鹿みたいだ。

 

あーー、ネガキャンばっかりのブログになっちゃってるなーー。

 

もっと思ったことだったり、自分にとって意味あるものにしたくて始めたのにな。

 

愚行

気持ち悪いことしてるって自覚はあった。

 

 

私のアイコンの周りが緑に囲まれる。

ストーリーを見る人を限定できるその機能、私は彼だけに見れるようにしてた。

 

男友達と遊ぶストーリー。

みんなに見せてるように見せかけた、彼だけに宛てたストーリー。

 

大好きな彼に嫉妬して欲しい、それだけだった。

半日以上返ってこなかったLINEも、通話遠回しに断られたのも、前ストーリーに女載せてたのも気に入らなかったから。

 

ただ寂しかっただけなの。酷いことだってわかってるけど、君に怒ってほしかったの。言ってほしかった。

めんどくさい女でごめん。素直じゃなくてごめんね。

 

 

今日だって本当は、彼の話を地元の男友達にいっぱい話を聞いてもらった。

 

 

この歪みまくった行動が君に真っ直ぐ伝わりますように。そう願った。信じてもない神様に。

 

 

恋と終わり

携帯の真っ暗な画面に、彼氏から冷められたブスな女の顔が写った。

 

大学を入学して10日と少しで私たちは出会った。そしてそれから2ヶ月後、付き合った。

 

ちゃんとした恋愛をしたのは初めてだった。抱きしめられたのもキスをしたのも、全部経験済みのふりをして、初めてだったの。

 

夏休みに入って、目に見えてどんどん距離が離れていくのが、辛くて仕方なかった。遅いLINEの返信も、記念日を祝わないのも、デートに誘ってくれないのも、電話を誘ってくれないのも、全部。

不安な毎日は会えていた時の後悔ばかりで、もっとああしとけば、こうしとけばって自分が嫌いになるばっかりだった。

 

1週間LINEが途切れて本格的にやばいと思い始めた。LINEでの会話のネタが無くなってきたから。

 

だから私は、コンビニで海遊館のチケットを買った。

 

「見て、底辺YouTuberにもらった (笑)」

 

そんなメッセージを添えて写真を送った。

 

我ながら浅ましくて愚かで可哀想な行動だ。どこまでも汚いこの作戦は上手く行き、明日、私は彼と海遊館に行く。

 

ばかみたいに足をパカパカして明日に備える私の姿は神には酷く滑稽に写っているだろうが、私も必死だ。

 

 

今さっき、彼のインスタのストーリーが更新された。

女が写っていた。きっと、前から言ってたバイト先の女だろう。

久しぶりの通話で舞い上がっていた私の心の気温は、彼が楽しそうにその女の話をするのを聞いて、氷点下ほどまで下がった。その女。

 

あ、終わりだ。と、思った。普通のカップルなら追求したりするんだろうが、私はそんなことが出来るほどできた性格じゃなかった。

 

もとより好きかどうかなどわからなかった。でもここまで愛情表現してくれる人は私の人生では初めてで、依存してしまっていたに過ぎない。

 

もっと強い人間になりたい。

考えたらつらいから、考えないようにした。

 

 

心の奥にしまって、考えないようにすれば、忘れてしまえば、何も辛くない。

 

 

人との繋がりなんて存在しない。

心なんてものも、存在しない。

 

おばけと一緒。実態のないものは存在しない。それは概念であって、人間がつくりあげた虚像。

実際の人間は水とタンパク質の塊で、心は脳の錯覚だ。ぐちゃぐちゃの臓器で細胞を操って生命活動を維持しているだけ。

人の繋がりなんてない。

わたし、わるくない。