女子大生の心の中

18さいの心の中

1年間続けたバイトをやめた。ばっくれた。

 

 

一昨日、何具わぬ顔で給料取りに行って、

今日ばっくれた。

 

 

「今日入ってるよ」ってLINEきたけど、無視した。

 

友達とスタバ行って、「今頃不審がってるかな」とか「怒ってるかな」とかそわそわしてたけど、屋上でお菓子食べながら寝っ転がって空を見てたらどうでもよくなって。

 

 

「この空の下ではなんでもええねん」

 

 

友達が言った、あっさい言葉に救われた。

 

「そやんなぁ。グループ退会するわ」

 

 

二つのグループ退会してLINEも全員ブロ消。

 

友達とバイバイして、やっと自分がやったことの重さに気付いて、めちゃくちゃ死にたくなった。

 

よくしてくれたのに、なんで素直に向上心に変えられなかったんだろう。

 

今までバックれた人なんていないだろうし、みんなびっくりしてるだろうな。あーーー、考え始めたら止まらん。もう遅いんだけどね

 

 

お母さんに言われた。「人としてよくない」って。

 

そんなこと自分が一番よくわかってるよ。お世話になったし、賄いもいっぱい食べたし、こんな終わり方したくなかったよ。

 

みんな優しくていい人だった。

 

でも、贅沢な私はそれがなんだかいつもつらくて、優しさに応えなきゃ応えなきゃって必死で、結局何も満足にできなくて、いつも虚しかった。

 

こんな辞め方、私が一番したくなかったよ。

誰よりも認めて欲しいもん。ばっくれたらこんな気持ちになるって分かってたし、認められて、優しさに上手く応えられるようになるまで頑張りたかったよ。

 

自分よりシフトに入れてもらえて仕事ができる年下の子への劣等感とか、上手く会話できなかった時の絶望感とか、みんな仲良いのに自分だけいつまで経っても馴染めない疎外感とかで、ずっと辛かった。

でも、弱い自分に負けたくなくて頑張ってたんだよ。

 

自分がだめなことなんて、自分が一番よくわかってるよ。

 

今日ではっきりわかった。自分がクズだって、人に言われなくても。自分で一番、わかった。外部からいちいち叩かれなくても、わかってるんだよ。

 

 

 

 

 

そんな夜ってあるよね

 

自分の顔が嫌い。

 

ごつい顎、水平じゃない目の位置、悪い歯並び。挙げだせばキリがないコンプレックスの集合体。

 

プリクラを撮った。

友人に渡す前に、自分の顔をLINEカメラ、アイビス、camera360、PicsArtで加工する。そうしないと、みんな自分の顔だけ確認してSNSに上げるから。

 

 

加工してる時、少し泣きたくなる。

 

自分の目を、骨格を、唇を弄って、スワイプで顔を小さくしている時

 

「なんでこんなことしなきゃいけないんだろう」

 

って。

 

 

歯列矯正、140万。

 

脂肪吸引、オトガイ形成、骨切り、人中短縮、ヒアルロン酸注入、豊胸。

 

どれも莫大な金がかかる。そうやって、コンプレックスに取り憑かれた女が行き着く先は大抵風俗とか夜の仕事。私も何度も考えた。

 

ノーマルカメラのインカメで自分を撮って、死にたくなる。

他撮りを見て、死にたくなる。

卒アルを見て、

証明写真を見て、

汚い肌を見て、

太い足を見て、

化粧でもプリクラでもSNOWでも盛れない自分を見て、死にたくなる。

 

 

 

あ〜〜〜〜〜〜消えたい

 

 

こんな夜、「どんな君も好きだよ」って言ってくれる人が手を握ってくれたら、どれだけ素敵か。

幸せって

うまいご飯食べた

 

 

肉で巻か野菜を巻いた肉をしゃぶしゃぶしてチーズにディップして食らう。お値段2300。

 

正直高い割にめちゃくちゃ満腹になるわけじゃない。美味いけどね。

 

でも、一緒に行った親友が美味しい美味しいって食べてた。

食が細くて食事中周りに気を遣う彼女が、嬉しそうにパクパク食べてた。

 

私は何だかすごく嬉しくて、まるで三ツ星シェフの高級フレンチに行ったみたいな気持ちになって、

 

今日は楽しかったなあって。

 

 

UFOキャッチャーで3000円近く溶かして預金残高2万しかなかったけど、なんかそれももうどうでもいいなって。

 

 

帰り道、家族への土産を腕に提げて、マイルドカフェオーレを飲みながら思うのでした。

 

エモいってなんだ

 

 

小学校のとき、外が台風で昼なのに夜みたいな中授業受けたとき。

 

プールの次の英語の時間、英文の朗読を聞きながらクーラーとハンディ扇風機で涼んでうたた寝をしたとき。

 

友達と夜通し遊んだ明け方4時に歩く外。

 

閉店終了時に流れる蛍の光

 

修学旅行の沖縄で聞いた三線涙そうそう

 

 

 

 

大好きな歌が耳障りな夜ってあるよね。

 

さ、明日は6時から早朝バイトだ。

がんばろうね

 

 

努力ができない

USJに行った。

 

 

キャストにチヤホヤされたくて、Amazonで激安ローブを買って。

17000円の本物に比べるとどうも見劣りしてしまうから、並ばないように端を歩いた。

 

一緒に行った友達はどうも様になっていた。

対して鏡に映った自分、ブスのコスプレ。

 

 

なんの差か?

 

足の太さだ。

 

 

生脚をさらけだしたその子の肌色はスリザリンのローブがよく似合っている。

 

ハリーポッターのアトラクションに乗った時、隣に座ったその子の生足にしか目がいかなかった。

毛穴の一本もない、細い足。

 

羨ましい。

 

YouTubeに転がるダイエット動画はどれも3日も続かなかった。

食べたいだけ食べ運動から逃げて生きてきた私の見にくい脚。皮膚はアトピーで炎症を起こし、生まれつき毛深い。醜い。

 

私だって最近流行りの韓国アイドルよろしく生足をさらけ出したい。

 

努力しない限りどうにもならないことが、この世には幾万とある。

 

努力。

 

できない。

「こうへいくん」という人

私が「こうへいくん」に出会ったのは、2020年6月。

 

テスト期間なんだか寂しくて、通話アプリ「斉藤さん」を入れた。

そこで出会ったのが、こうへいくん。

 

こうへいくんは慶應義塾大学経済学部に通う私の一個上の男の子。

学校の通り頭が良く、サッカーをしていて運動ができる。実家が港区のお金持ちで、横浜のマンションで一人暮らし。歴代彼女11人(この辺は曖昧)。本人曰く顔がいいらしい。因みに、「こうへい」は本名ではないらしい。

 

 

そんな人間、存在する?

 

 

にわかに信じられないほど才色兼備。容姿端麗、金持ち?少女漫画か。

 

一回目の通話が終わり、二回目が2日後ぐらいにかかってきた。

もうやめようと思ってる、そう伝えると、消さないで、と言った。消しちゃだめって。それがなんかすごい嬉しくて、多分その頃から私は「こうへいくん」っていう沼にハマってた。

めちゃくちゃモテるらしいこうへいくんという男の子が、私と電話したいって言ってくれることがなんだか奇跡みたいに思えた。

 

 

真偽はどうであれ私の中のこうへいくんはめちゃくちゃかっこいい完璧な男の子だった。少々私には優しくなかったのだけど、なんかそれもよかった。

 

 

 

 

こうへいくんとの連絡は随分長いこと続いた。

 

私はその間なんだかとても幸せで、恋というには微妙だったが、好きだった、と思う。

 

私はこうへいくんとの電話で自分をめちゃくちゃ偽った。こうへいくんの言ってることが全部ほんとだったとして、現実の私じゃ振り向いてくれないだろうなと思ったから。

元彼にストーカーされてる(自分に魅力があるアピール)とか体育祭の団に入った(自分陽キャですよアピール)とか彼氏がいる(向こうに彼女がいたので見栄を張りたかった)とか。

 

 

こうへいくんの好きな曲は全部全く興味のなかったが、おすすめされた曲は片っ端から好きになった。

 

 

 

『1月で終わり』

 

こうへいくんのプロフィールにそう書かれていた。

1月30日、電話した。

 

 

「やめちゃうんですか?」

「なんかここですごい仲良くなった子がいてさ、もうインスタも教えるぐらい。その子経由で変な子に絡まれて、もういいかなって。」

 

 

なんだその理由。

 

このアプリに私より仲いい子、いたんだ。うける。

私にはインスタ絶対教えてくれないじゃん。

私は一番仲いいと思ってたんだけど。

 

 

「じゃあまあ、これで終わりっすわ。」

 

 

あ、そんな感じなんだ。呆気ないね。

一応半年以上続いたんだよ?

 

 

「いやなんかその感じやだなー、(笑)」

「なんで?別に良くない?」

 

 

いいんだよ。

いいんだけどね、?

 

 

「じゃーねー。」

「うん ばいばい、」

 

 

ぷつり。

 

 

終わった。

 

こうへいくんが辞めないでって言うから続けてたのに、自分はすぐ辞めるんだ。そんなもんなんだ。

私にとってこうへいくんは唯一無二だったけど、こうへいくんにとって私は数ある暇つぶし道具の一つでしかなく、いつでも捨てれるおもちゃだった。

 

逆に、断ち切れてよかったと思った。

偽られた私で接してたこうへいくん。もう偽らなくていいんだ。こうへいくんとの一方的な疑似恋愛は楽しかったけど、気苦労も多かったから。

 

忘れよう。失恋にも満たない、こんなこと。

 

 

 

次の日、1月31日。

私は心に大きな穴を開けた状態で国立国際美術館に向かいゴッホの「ひまわり」やモネの「睡蓮の池」を鑑賞した。

 

ぴこん

 

美術館で通知音がなった。

非常識だと思い慌てて音を切る。

 

こうへいくんだった。

 

非常識だとか考えずすぐ開いた。

 

 

「1月でやめないことになった」

 

 

は?

 

 

 

それにはまだ、返信できてない。

お風呂場の母

お風呂場の母が嫌いだ。

 

 

よく母と一緒にお風呂に入る。

うちの家の風呂は別段広くないので、二人入るとまあ狭い。でも、入る。理由はない、わからない。

 

お風呂場の母は考えてることを全部口に出す。

「あたしはこう思うねんな〜」「この前〇〇がさぁ〜」

私が相談すると全部自分の話に持っていって、オチは毎回母の昔話。

 

自分の話しかしない。自分と違う意見は全て否定から入る。それはお風呂に入ってる時に限った話じゃないんやけど、お風呂で特に目立つ。

お風呂に入ってる時って暇だから、話をちゃんと聞いちゃうんだろうな。

 

私はそんな風呂場の母が嫌い。

だから、嫌味を言ったり余計な一言で話を妨害したりする。

度々空気がピリつく。

私が風呂場の母が嫌いなように、母も風呂場の私が嫌いだろう。

 

 

母の好きなところってどこだろう。

ご飯が美味しいとこ?

世話焼きなとこ?

家族の為に頑張るとこ?

 

 

母の嫌いなところってどこだろう。

すぐ自分の話をするとこ?

自分主体ですぐすねるとこ?

ごめんなさいを意地でも言わないとこ?

自分の知識をすぐひけらかすとこ?

私のどんな意見も否定から入るとこ?

頑固で間違いを絶対認めないとこ?

 

 

 

お風呂に入ってる束の間、母は母ではなく、一人の人間になる。

 

私は風呂場の母が嫌いだ。